福岡県の気象災害の特色
台風災害
- 台風の年間発生数の平均値(昭和46年〜平成12年の30年平均)は、約27個です。このうち、福岡県を含む九州北部地方への接近・上陸は約2.3個です。
- 台風は7月〜9月を中心として、福岡県に接近・上陸しますが、秋の台風には大型のものが多く見られます。また、梅雨期や秋雨期など、福岡県付近に前線が存在するとき南海上に台風があると、台風から暖湿気が流れ込んで前線が活発化し、大雨による災害の危険性が高くなります。
- 昭和20年9月に鹿児島県枕崎市付近に上陸後九州を北上した枕崎台風は、福岡県にも大きな被害を与え、死者・行方不明者は87名に達しました。
- 平成3年9月に長崎県に上陸し、福岡県を北東に通過した台風第17号・19号では、死者・行方不明者14名、負傷者765名、家屋の全半壊4,448棟に達し、風倒木等により農林業を大きな被害を受けました。
- 平成11年9月に熊本県北部に上陸後福岡県を通過し、周防灘に進んだ台風第18号では、周防灘沿岸で大きな高潮災害が発生しました。
(1)台風による強風害
- 一般に台風の進行方向に向かって右側は左側に比べて風が強く、福岡県が台風の進路の右側に当たる場合には、その強風害に特に注意を要します。
(2)台風による水害
- 盛夏期の台風には進行速度の遅いものがあり、このような台風が接近すると長時間にわたり大雨を降らせることになるので、警戒が必要です。
- 福岡県付近に前線が停滞しているときに台風が九州の南海上にあると、台風からの暖湿気の流入で前線が活発化し、福岡県で大雨が降ることがある。その場合は、台風が遠くにあっても注意が必要です。
- 台風が福岡県の西を通る場合は、筑紫山地の南側及び熊本県境付近で雨量が多くなり、福岡県の東を通る場合は、筑紫山地の北側で雨量が多くなる傾向にあります。
(3) 台風による高潮害、高波害
- 吸い上げ効果・・・・台風や低気圧の接近等により気圧が下がり、海面が盛り上がること。
- 吹き寄せ効果・・・・強風が湾の奥に向かって長時間吹きつけ、湾内の海面が上昇すること。
- 高潮害とは、吸い上げ効果と吹き寄せ効果によって海面が上昇し、陸地に浸水して被害を発生させることをいいます。
- 台風接近時には、6mを超える高波が発生することがあり、高潮と重なると海水が防波堤を乗り越え、時には破壊して浸水害を増大させます。
- 台風が福岡県の西側を通る場合には、南寄りの風の吹き寄せ効果により有明海沿岸で、福岡県の東側を通る場合には、北寄りの風の吹き寄せ効果により玄界灘沿岸で、それぞれ高潮害が発生するおそれがあります。
大雨災害
(1)大雨の気象要因
福岡県における大雨の気象要因は、梅雨前線によるものがほとんどで,
- 梅雨前線が対馬海峡又は九州北部付近にあって、梅雨前線上を次々に低気圧が通過するとき
- 梅雨前線が九州付近で南北にゆっくり移動を繰り返すとき、特に福岡県を南下するとき
- 福岡県付近に前線が停滞し、九州の南海上に台風や熱帯低気圧があるとき
に大雨が降りやすくなっています。また、地域的な特徴として、筑後地方から筑豊地方の山沿いにかけては、暖かい湿った南西気流が流れ込見やすいので、大雨が降りやすくなっています。
(2)主な大雨災害
- 福岡県における最も大きな大雨災害は、昭和28年6月28日の梅雨前線によるもの(西日本大水害)で、死者・行方不明者は286名に達しました。
- 平成2年6月28日の梅雨前線による大雨で、筑後地方を中心に死者4名、床上床下浸水8,496戸の被害が発生しています。
- 平成11年6月29日の梅雨前線による大雨では、福岡地方を中心に死者2名、床上床下浸水6,163戸の被害が発生しました。この大雨では、都市部の地下空間への浸水で犠牲者が出るという近年見られなかった災害が発生しました。
福岡県の顕著な災害一覧表
|
年
|
月 日
|
現 象 |
死者・ 行方不明者 |
家屋の全壊流失 |
船舶の沈没流失 |
| 明治39 |
10.21〜24 |
台風5号による暴風雨 |
14 |
− |
34 |
| 明治42 |
2.18〜20 |
日本海低気圧による 暴風 |
11 |
− |
70 |
| 明治44 |
2.8〜10 |
冬型気圧配置による 暴風 |
10 |
− |
1 |
| 大正3 |
6.15〜25 |
梅雨前線による大雨 洪水 |
64 |
4 |
− |
| 大正10 |
6.15〜18 |
梅雨前線による大雨 洪水 |
35 |
881 |
− |
| 昭和5 |
7.16〜20 |
台風8号による暴風雨 |
80 |
2,225 |
106 |
| 昭和10 |
6.26〜7.2 |
梅雨前線による大雨 洪水 |
40 |
222 |
− |
| 昭和11 |
7.21〜24 |
台風1号による暴風雨 |
2 |
118 |
− |
| 昭和16 |
6.25〜29 |
梅雨前線による大雨 洪水 |
55 |
237 |
− |
| 昭和16 |
9.28〜10.2 |
台風25号による暴風雨 |
18 |
465 |
− |
| 昭和17 |
8.25〜28 |
台風16号(周防灘台 風)による暴風雨・高潮 |
47 |
3,348 |
217 |
| 昭和20 |
9.15〜19 |
台風16号(枕崎台風) による暴風雨 |
87 |
761 |
60 |
| 昭和22 |
6.20〜24 |
台風3号(キャロル 台風)による暴風雨 |
10 |
11 |
− |
| 昭和23 |
12.24 |
冬型気圧配置による 突風 |
30 |
− |
3 |
| 昭和24 |
6.17〜22 |
台風2号(デラ台風) による暴風雨 |
16 |
65 |
− |
| 昭和24 |
8.14〜19 |
台風9号(ジュディス 台風)による暴風雨 |
7 |
123 |
− |
| 昭和24 |
9.21〜22 |
寒冷前線による突風 |
12 |
1 |
数10 |
| 昭和25 |
9.11〜14 |
台風29号(キジア台 風)による暴風雨・高潮 |
6 |
147 |
− |
| 昭和26 |
10.12〜15 |
台風15号(ルース 台風)による暴風雨 |
5 |
635 |
− |
| 昭和28 |
6.4〜7 |
梅雨前線と台風2号に よる大雨洪水 |
13 |
14 |
3 |
| 昭和28 |
6.25〜29 |
梅雨前線による大雨 洪水 |
295 |
4,419 |
− |
| 昭和30 |
1.16〜19 |
冬型の気圧配置による 強風 |
10 |
− |
4 |
| 昭和30 |
9.27〜30 |
台風22号による暴風雨 |
8 |
190 |
− |
| 昭和31 |
8.15〜18 |
台風9号による暴風雨 |
4 |
315 |
55 |
| 昭和31 |
9.6〜10 |
台風12号による暴風雨 |
6 |
132 |
8 |
| 昭和34 |
2.6〜7 |
低気圧による突風 |
14 |
− |
3 |
| 昭和34 |
7.13〜16 |
梅雨前線による大雨 洪水 |
25 |
103 |
− |
| 昭和34 |
9.15〜18 |
台風14号による暴風雨 |
19 |
31 |
14 |
| 昭和38 |
1.1〜2.10 |
冬型の気圧配置による 大雪 |
19 |
5 |
1 |
| 昭和38 |
6.29〜7.2 |
梅雨前線による大雨 洪水 |
18 |
39 |
− |
| 昭和47 |
7.3〜13 |
梅雨前線による大雨洪水 |
13 |
33 |
1 |
| 昭和48 |
7.30〜31 |
寒冷前線による大雨 洪水 |
28 |
62 |
− |
| 平成3 |
9.26〜28 |
台風19号による暴風雨 |
11 |
116 |
1 |
福岡県防災安全課のホームページより引用しています